①顎関節症と耳鳴りは関係ある?まず知っておきたい基礎知識
「顎がカクカク鳴るようになってから耳鳴りも気になるようになった…」「この2つは関係があるの?」と疑問に思う方は少なくありません。
結論からいうと、顎関節症と耳鳴りには関連がある可能性があると言われています。ただし、耳鳴りの原因は一つではなく、耳そのものの病気や加齢、ストレスなどが関係するケースもあるため、「耳鳴り=顎関節症」と断定することはできません。
とはいえ、顎関節は耳のすぐ近くに位置しており、顎を動かす筋肉や神経とも密接につながっています。そのため、顎関節や周囲の筋肉へ負担がかかることで、耳周辺にも影響が及ぶ可能性があると考えられています。
まずは顎関節症とはどのような状態なのか、そして耳鳴りとの関係について基本から確認していきましょう。
顎関節症とはどんな病気?
「顎関節症って、顎が痛くなるだけじゃないんですか?」
そう思われることも多いのですが、実は症状はそれだけではありません。
顎関節症とは、顎の関節やその周囲の筋肉に負担がかかることで、さまざまな不調が現れる状態の総称と言われています。
代表的な症状としては、口を開けると痛む、口が大きく開かない、顎を動かすと「カクッ」「コキッ」と音が鳴るといったものがあります。また、食事のときに顎が疲れやすくなったり、口を開け閉めしづらく感じたりする方も少なくありません。
以前は若い女性に多いと考えられていましたが、近年ではデスクワークやスマートフォンの使用時間が増えた影響などもあり、年代や性別を問わずみられると言われています。食いしばりや歯ぎしり、姿勢の乱れなどが重なることで、顎への負担が大きくなることもあるようです。
耳鳴りとはどんな症状?
「周りは静かなのに、自分だけ音が聞こえる…。」
このような状態が耳鳴りです。
耳鳴りは外から音が聞こえているわけではなく、自分だけが音を感じる症状と言われています。聞こえ方には個人差があり、「キーン」「ジー」「ザー」「ピー」など、人によって表現はさまざまです。
また、片耳だけに感じる場合もあれば、両耳に聞こえるケースもあります。一時的に起こる耳鳴りで自然に落ち着くこともありますが、何週間も続いたり、日常生活に支障をきたしたりする慢性的な耳鳴りもあります。
耳鳴りの原因は非常に幅広く、耳の病気だけでなく、ストレスや睡眠不足、加齢、血流の変化などが関係すると考えられています。そのため、原因を一つに決めつけず、症状全体を確認することが大切です。
顎関節症で耳鳴りが起こることがある理由
「どうして顎の不調なのに耳まで気になるのでしょうか?」
その理由の一つとして、顎関節と耳が非常に近い場所にあることが挙げられます。
顎を動かす咀嚼筋や側頭筋が緊張すると、耳周辺にも影響が及ぶ可能性があると言われています。さらに、食いしばりや歯ぎしりが続くことで筋肉の負担が増え、耳の違和感や耳鳴りにつながるケースもあると考えられています。
また、顎関節周囲には多くの神経や血管が集まっているため、筋肉の緊張によって神経や血流へ影響を与える可能性も指摘されています。ただし、これらはあくまでも関連性が示唆されている段階であり、現時点では顎関節症が耳鳴りを直接引き起こす明確な因果関係は証明されていません。
そのため、耳鳴りが続く場合は自己判断をせず、耳の病気が隠れていないかも含めて確認することが大切と言われています。
②顎関節症による耳鳴りの原因と悪化させる生活習慣
「顎関節症と耳鳴りが関係しているかもしれない」と聞くと、顎だけが原因だと思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし実際には、普段何気なく続けている生活習慣が顎関節へ負担をかけ、耳鳴りにつながる要因の一つになることがあると言われています。
例えば、無意識の食いしばりや歯ぎしり、片側だけで噛む癖、猫背やストレートネックなどは、顎の周囲にある筋肉を緊張させやすいと考えられています。さらに、ストレスや長時間のスマートフォン操作なども重なることで、顎関節への負担が増える可能性があります。
ここでは、顎関節症による耳鳴りを悪化させると言われている代表的な生活習慣について見ていきましょう。
食いしばり・歯ぎしり
「寝ている間のことだから、自分には関係ないと思っていました。」
実は、このように感じている方は少なくありません。
食いしばりや歯ぎしりは、睡眠中だけでなく、仕事や家事に集中している日中にも無意識に行っていることがあります。上下の歯を強く噛み合わせる状態が続くと、顎を動かす咀嚼筋へ負担がかかりやすくなると言われています。
筋肉の緊張が続くことで顎関節にも負荷が加わり、顎の痛みや違和感だけでなく、耳の周囲にも影響が及ぶ可能性があると考えられています。普段から「気づくと歯を食いしばっている」という方は、一度意識してみることも大切です。
噛み合わせの乱れ
「いつも右側ばかりで噛んでいるかも…。」
そんな癖も、顎関節への負担につながる要因の一つと言われています。
左右どちらか一方だけで噛む習慣が続くと、片側の筋肉ばかりが使われるため、筋肉のバランスが崩れやすくなると考えられています。また、噛み合わせの乱れがある場合も、顎関節へ偏った負荷がかかることがあるようです。
毎日の積み重ねは小さく感じても、長期間続くことで顎周囲の緊張につながる可能性があります。食事では左右均等に噛むことを意識するとよいと言われています。
ストレスや自律神経の乱れ
「ストレスと顎って関係あるんですか?」
実は、ストレスを感じると体が緊張しやすくなることが知られています。
精神的な負担が続くと、自律神経のバランスが乱れ、首や肩、顎周囲の筋肉がこわばりやすくなると言われています。その影響で食いしばりが増えたり、歯ぎしりが強くなったりすることもあるようです。
筋肉の緊張が続けば、顎関節への負担も大きくなる可能性があります。十分な休息や睡眠、気分転換を取り入れることも、顎への負担を減らすためには大切だと考えられています。
姿勢不良・ストレートネック
「猫背くらいなら問題ないと思っていました。」
ところが、姿勢の崩れも顎関節へ影響を与えることがあると言われています。
猫背やストレートネックになると、頭の位置が前へ出やすくなります。その状態では首や肩の筋肉が緊張しやすくなり、顎を支える筋肉にも負担がかかる可能性があります。
長時間その姿勢が続くことで、顎関節の動きにも影響が及ぶことがあるため、デスクワークでは背筋を伸ばし、画面の高さを調整することも意識したいポイントです。
長時間のスマホ・パソコン
「気づけば何時間もスマホを見ていた…。」
このような生活は、現代では珍しくありません。
スマートフォンやパソコンを長時間使用すると、自然と下を向く姿勢になりやすく、首や肩への負担が増えると言われています。その影響で顎周囲の筋肉も緊張しやすくなり、顎関節へ負荷がかかる可能性があります。
特に休憩を取らずに同じ姿勢を続けると、筋肉が硬くなりやすいと考えられています。1時間に一度は姿勢を変えたり、軽く首や肩を動かしたりする習慣を取り入れることが大切と言われています。
③顎関節症による耳鳴りか確認するセルフチェック
「この耳鳴りは顎関節症が関係しているのかな?」と気になっても、自分では判断が難しいものです。
もちろん、セルフチェックだけで原因を特定することはできません。しかし、顎の動きや一緒に現れている症状を確認することで、顎関節症との関連性を考えるヒントになると言われています。
特に、耳鳴りだけではなく顎や首、肩にも違和感がある場合は、顎関節に負担がかかっている可能性も考えられます。一方で、難聴や強いめまいなどを伴う場合は耳の病気が原因のケースもあるため、症状を総合的に確認することが大切です。
ここでは、自宅でも確認しやすいセルフチェックのポイントをご紹介します。
顎を動かすと耳鳴りが変化する
「口を開けると耳鳴りが強くなる気がする…。」
もしそのような変化があるなら、顎関節との関連が考えられることもあると言われています。
例えば、口を大きく開けたときや閉じたとき、あくびをしたとき、強く噛みしめたときに耳鳴りの大きさや聞こえ方が変わるかどうかを確認してみましょう。
顎を動かすことで症状が変化する場合は、顎関節や咀嚼筋の影響を受けている可能性があると考えられています。ただし、これだけで顎関節症が原因とは判断できないため、一つの目安として考えることが大切です。
顎関節症によくある症状がある
「耳鳴り以外にも当てはまるものはないかな?」
そんな視点で確認してみることも役立ちます。
顎関節症では、顎が痛む、口を開けると「カクカク」「コキッ」と音が鳴る、大きく口を開けにくいといった症状がみられると言われています。また、食事の途中で顎が疲れやすくなったり、硬い物を噛むと違和感が出たりする方もいるようです。
耳鳴りとあわせてこれらの症状がある場合は、顎関節への負担が影響している可能性も考えられます。
耳以外にもこんな症状がある
「耳だけではなく、首や肩もつらいんです。」
このようなケースも珍しくありません。
顎関節症では、顎だけでなく首こりや肩こり、頭痛などを伴うことがあると言われています。さらに、「耳が詰まった感じがする」「耳の中に違和感がある」と感じる方もいるようです。
これは、顎関節と耳が近い位置にあり、周囲の筋肉や組織が互いに影響し合う可能性があるためと考えられています。耳鳴りだけを見るのではなく、体全体の症状をあわせて確認することがポイントです。
耳鼻科の病気との違い
「耳鳴りなら全部顎関節症なんですよね?」
実は、そのようには言えません。
耳鳴りは顎関節症でもみられることがありますが、耳そのものの病気が隠れている場合もあります。例えば、急に聞こえが悪くなった、強いめまいが続く、発熱がある、耳だれ(耳漏)が出ているなどの症状がある場合は、耳鼻科で扱う病気の可能性も考えられると言われています。
耳鳴りが長く続く場合や症状が強くなる場合は、自己判断をせず、まず耳の状態を確認してもらうことが大切です。そのうえで、必要に応じて顎関節の状態も確認すると安心でしょう。
④顎関節症による耳鳴りを改善するセルフケア
「顎関節症による耳鳴りは、自分でできることはあるの?」と気になる方も多いでしょう。
耳鳴りの原因はさまざまですが、顎関節への負担が関係している場合は、日常生活を少し見直すことで負担を軽減できる可能性があると言われています。
大切なのは、一度にすべてを変えようとするのではなく、毎日続けられることから始めることです。食いしばりや姿勢など、普段は意識していない習慣を見直すだけでも、顎への負担が変わることがあります。
ここでは、自宅で取り組みやすいセルフケアをご紹介します。
食いしばりを意識して減らす
「気づいたら歯を噛みしめていました…。」
このような癖は、意外と多くの方にみられると言われています。
本来、リラックスしているときは上下の歯が軽く離れている状態が自然とされています。しかし、仕事中や家事に集中しているとき、無意識に食いしばってしまう方も少なくありません。
まずは「今、歯を噛んでいないかな?」と意識することから始めてみましょう。スマートフォンのアラームや付箋などを活用し、定期的に確認する方法もおすすめと言われています。
顎周囲・首肩のストレッチ
「顎だけでなく首や肩もガチガチです。」
そんな場合は、顎だけでなく周囲の筋肉も一緒にほぐすことが大切と言われています。
首をゆっくり左右へ倒したり、肩を回したりする軽いストレッチは、自宅でも取り組みやすい方法です。また、口を無理のない範囲でゆっくり開閉する運動も、顎周囲の筋肉をリラックスさせる目的で行われることがあります。
ただし、痛みが強いときは無理に動かさず、違和感のない範囲で行うことがポイントです。
姿勢を改善する
「猫背って、顎にも影響するんですね。」
実は、そのように考えられています。
頭が前へ出る姿勢が続くと、首や肩だけでなく顎周囲の筋肉にも負担がかかる可能性があります。デスクワークでは画面の高さを調整し、背もたれを活用しながら座ることも意識してみましょう。
長時間同じ姿勢を続けるよりも、1時間に一度は立ち上がって軽く体を動かす習慣を取り入れることもおすすめと言われています。
硬い食べ物や大きな口を避ける
「食事でも気をつけることはありますか?」
あります。
するめやフランスパンなどの硬い食べ物は、顎へ強い負担がかかることがあります。また、大きなハンバーガーを無理に頬張ったり、大きなあくびを我慢せず勢いよく口を開けたりすることも、顎関節への負荷につながる可能性があると言われています。
症状が気になる間は、やわらかめの食事を選び、口を大きく開けすぎないよう意識するとよいでしょう。
睡眠・ストレス管理を行う
「忙しいと顎まで疲れる気がします。」
その感覚は珍しいことではないようです。
睡眠不足やストレスが続くと、筋肉が緊張しやすくなり、食いしばりや歯ぎしりが増える可能性があると言われています。そのため、十分な睡眠時間を確保したり、入浴や軽い運動でリラックスする時間をつくったりすることも大切です。
無理なく続けられる方法を見つけることが、セルフケアを継続するコツと考えられています。
歯科でマウスピース検査を受けることもある
「セルフケアだけで改善しない場合はどうすればいいですか?」
そのような場合は、歯科へ相談する選択肢もあります。
食いしばりや歯ぎしりが強いと判断された場合には、就寝中に装着するマウスピースが提案されることがあると言われています。マウスピースは歯や顎関節への負担を軽減することを目的として用いられることがあります。
耳鳴りが長く続く場合は、顎関節だけでなく耳の病気が関係しているケースもあるため、症状に応じて耳鼻科と歯科の両方で確認してもらうことが大切と言われています。
⑤改善しない場合は要注意|病院へ行く目安と来院すべき科
「耳鳴りが続いているけれど、そのうち落ち着くだろう…。」
このように様子を見る方もいますが、耳鳴りは顎関節症だけが原因とは限らないと言われています。中には、早めに確認したほうがよい耳の病気が隠れているケースもあるため、症状によっては自己判断を続けないことが大切です。
特に、聞こえ方の変化や強いめまいを伴う場合は、できるだけ早く医療機関で状態を確認してもらうことがすすめられています。
ここでは、来院を検討したほうがよい症状や考えられる病気、検査内容についてご紹介します。
早めに病院を来院したほうがよい症状
「どんな症状なら病院へ行ったほうがいいのでしょうか?」
一つの目安として、耳鳴りが数週間以上続いている場合は、一度状態を確認してもらうことが大切と言われています。
また、急に聞こえにくくなった、強いめまいやふらつきがある、顎がほとんど開かない、強い痛みが続いているといった症状がみられる場合は、早めの対応がすすめられています。
耳鳴りは時間の経過だけでは原因を判断できないため、症状が長引く場合や悪化している場合は、我慢せず相談することが安心につながるでしょう。
耳鳴りと関連することがある病気
「耳鳴りは顎関節症だけではないんですね。」
その通りです。
耳鳴りにはさまざまな原因があり、突発性難聴やメニエール病、滲出性中耳炎、耳管機能障害などが関係することもあると言われています。また、まれではありますが、聴神経腫瘍が原因となるケースも報告されています。
もちろん、顎関節症によって耳周囲へ影響が及ぶ可能性も考えられていますが、症状だけで原因を判断することは難しいため、必要に応じて複数の可能性を確認することが大切です。
何科を来院すればよい?
「まずはどこへ相談すればいいですか?」
耳鳴りがある場合は、まず耳鼻咽喉科で耳の病気がないか確認してもらうことが一般的と言われています。
そのうえで、耳に大きな異常がなく、顎の痛みや口の開けづらさなどがある場合は、歯科や口腔外科、顎関節症外来で相談する方法があります。
また、首や肩の痛み、姿勢の問題などが関係していると考えられる場合には、症状に応じて整形外科で確認することもあるようです。
病院で行われる主な検査
「病院ではどんなことをするのでしょう?」
まずは症状が始まった時期や聞こえ方などについて問診が行われることが多いと言われています。
その後、顎関節の状態や口の開き具合を確認したり、聴力検査で聞こえ方を調べたりすることがあります。必要に応じてレントゲン検査やCT・MRIなどの画像検査が行われる場合もあります。
さらに、顎関節症が疑われる場合には、噛み合わせの状態などを確認しながら原因を探っていくことがあるようです。
自己判断せず専門家へ相談しよう
「顎関節症だと思っていたら別の病気だった…。」
このようなケースもあると言われています。
耳鳴りは顎関節症だけでなく、耳の病気や神経の異常など、さまざまな原因が考えられる症状です。特に難聴や強いめまいを伴う場合は、早めに状態を確認することが重要とされています。
原因を正しく把握することで、自分の症状に合った対応を検討しやすくなります。セルフケアを続けても改善がみられない場合は、一人で悩まず専門家へ相談してみることが大切と言われています。